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内分泌の病気

こつたいしゃ/
ふくこうじょうせん
骨軟化症
骨軟化症とは?

骨や軟骨の石灰化障害により、類骨(石灰化していない骨器質)が増加する病気で、骨成長後の成人に発症するものを「骨軟化症」といいます。これに対して、骨成長前の小児に発症するものを「くる病」といいます。

骨軟化症は、骨形成の過程や骨が作られる過程での問題が原因となり、骨が弱くなる病気です。 骨軟化症は、類骨と石灰化した骨の全骨量は減少していませんので、類骨の割合が正常で全骨量が減少していて骨が弱化する骨粗鬆症とは異なります。

骨軟化症の原因は?

骨軟化症が起きる原因として最も多いものは、ビタミンDの欠乏です。ビタミンDは、胃からのカルシウム吸収を補助する重要な栄養素です。また、正常な骨の形成のためにカルシウムとリンの値を維持するように働きます。ビタミンDは、そのほとんどを日光からの紫外線を浴びることによって皮膚内で生産されています。もちろん、乳製品や魚などの食べ物からも吸収されています。

ビタミンDの不足は、骨に構造的な強度を与えるカルシウムが骨の中で処理できなくなります。これは、食生活の問題や日光の不足、また腸の疾患が原因で起こることがあります。

主にビタミンDの作用不足によるものとして、以下のようなことが原因として考えられています。

①胃切除後や胆汁分泌不全によるビタミンDの吸収不良などによるビタミンD欠乏

②ビタミンDの活性化に必要な酵素が欠損している場合や慢性腎不全などによりビタミンDの活性化が障害されている場合

③ビタミンD受容体の異常が原因でビタミンDに対する応答に障害がある場合

また、リンを含まない食事によってリン不足が生じると骨軟化症が引き起こされる場合があります。薬剤としては、てんかん治療に使われるファニトインやフェノバルビタールなどの薬も骨軟化症の原因になる可能性があります。その他、骨や軟骨の腫瘍、がんなどが原因で骨軟化症が起こる場合もあります。

骨軟化症の症状は?

最も一般的な症状は、骨が非常に骨折しやすくなることです。つまり骨折してから診断されることが多いということです。初期にははっきりした症状を訴えることは少なく、腰背部痛、股関節・膝関節・足の漠然とした痛みや骨盤・大腿骨・下腿骨などの痛みがみられます。骨の痛み、特に股関節の痛みは非常に多くみられる症状です。鈍い痛みは、股関節から腰、骨盤、脚、また肋骨まで広がることがあります。もちろん、骨折をしてしまっていれば、その骨折部位の痛みが前面に出ます。さらに発見が遅くなり進行すると、下肢の筋力低下や臀筋の筋力低下による歩行障害、脊椎骨折により脊柱の変形などが現れます。

他の症状として、血液中のカルシウムが著しく低下すると不整脈が起きる可能性があります。また、血中カルシウムの低下により、口の周りや手足のしびれ、手足のけいれんを引き起こすこともあります。

検査と診断は?

血中のビタミンD、カルシウム、リンの検査することは、骨軟化症やその他の骨疾患との鑑別診断に役立ちます。ビタミンD欠乏性であれば、血清カルシウム、リンの値が低くなります。また、アルカリホスファターゼの高値は骨軟化症を強く疑う検査所見です。一方、ビタミンD抵抗性くる病の成人型では血清カルシウムは正常で、リンは低下し、アルカリホスファターゼも高い値を示します。

単純X線写真では、全身の骨にみられる小さなひびが見られます。大腿骨頸部、骨盤、肋骨などの骨表面に垂直に走る骨折線(これらの小さなひびはルーサー帯と呼ばれ、小さなけがによっても骨折する可能性があるところです)が特徴的です。

骨軟化症の診断を確定するために、原則としては骨生検が必要となります。しかし、通常は診断を下すにはX線検査と血液検査のみで十分であり、骨生検の必要はありません。前に述べたような症状がある場合には、内科あるいは整形外科の専門医を受診し、X線検査、血液・尿検査を受けて下さい。特に、骨粗鬆症との鑑別は重要です。

治療は?

皮膚内で十分な量のビタミンDが生成されるよう、屋外での日光浴などの生活指導とともに、薬物療法としてビタミンD製剤を投与します。また、カルシウム、リンの経口サプリメントを利用することもあります。しかし、定期的な血液・尿検査を行い、治療効果や副作用をチェックすることが重要です。

また、下肢の変形や低身長に対しては、骨矯正術や骨延長術などの手術療法を行うこともあります。