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内分泌の病気

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劇症1型糖尿病
劇症1型糖尿病とは

この病気は、1型糖尿病のサブタイプ(亜型)の一つで、急激な発症経過をたどります。表に劇症1型糖尿病のスクリーニング基準と診断基準を示します。

劇症1型糖尿病のスクリーニング基準
(下記の基準を満たす症例は入院の上、精査が必要)
1. 糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る
2. 初診時の(随時)血糖値が288mg/dL以上である
劇症1型糖尿病診断基準
(下記1~3のすべてを満たすものを劇症1型糖尿病と診断する)
1. 糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る(初診時尿ケトン体陽性、血中ケトン体上昇のいずれかを認める)
2. 初診時の(随時)血糖値≧ 288mg/dL以上、かつHbA1c<8.7%※
※劇症1型糖尿病発症前に耐糖能異常が存在した場合は、必ずしもこの数字は該当しない
3. 発症時の尿中Cペプチド<10µg/日、
または空腹時血中Cペプチド<0.3ng/mL、かつグルカゴン負荷後
(または食後2時間)血中Cペプチド<0.5ng/mL

発症時の平均血糖は約800mg/dLと著明に高値であるにもかかわらず、発症があまりにも急激であるために、過去2~3ヶ月の血糖の指標であるHbA1cはあまり上昇しないのが特徴です。膵β細胞はほぼ消失しており、内因性インスリン分泌能の指標であるCペプチドは著しく低下します。また、急性発症1型糖尿病の特徴である抗GAD抗体のような自己抗体は多くの場合陰性です。

この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

非常に希なタイプの糖尿病です。2009年の調査では、わが国での患者数は5000~7000人であると推計されています。

この病気はどのような人に多いのですか

2004年の調査は、発症に男女差はありませんが、平均発症年齢は男性43歳、女性35歳であり、20歳未満の患者は8.7%でした。小児期に多くが発症し、思春期に発症のピークがある急性発症1型糖尿病と異なる年齢層で発症することがいわれています。

この病気の原因はわかっているのですか

原因はまだ不明な点もありますが、遺伝因子を背景にウイルス感染が契機となり、それに伴う免疫現象(抗ウイルス免疫)により、β細胞が破壊されます。劇症1型糖尿病の72%に先行感染症状を認め、ヒトヘルペスウイルス(HHV)6型、コクサッキーウイルス、インフルエンザBウイルス、ムンプスウイルスなど、様々なウイルスが報告されています。遺伝子としてはクラスⅠ/ⅡHLA遺伝子、CTLA-4遺伝子などがいわれています。病理学的には膵β細胞の破壊がα細胞も巻き込んでおり、マクロファージの浸潤が顕著である事が特徴です。

この病気は遺伝するのですか

通常は遺伝しません。

この病気ではどのような症状がおきますか

急性発症1型糖尿病と同様ですが、糖尿病の症状といわれる口渇、多飲、多尿、体重減少が始まってから1週間以内にケトーシスに陥ることが特徴で、放置されると生命予後も危ぶまれる恐ろしい病態です。

この病気にはどのような治療法がありますか

治療法は1型糖尿病に順じ、インスリン療法、薬物療法が用いられます。劇症1型糖尿病で膵糖移植や膵臓移植を受けた症例はまだ報告がありません。

この病気はどういう経過をたどるのですか

1型糖尿病と同様ですが、急性発症1型糖尿病とくらべて劇症1型糖尿病は、血糖変動が激しく、合併症を来たしやすいことが知られています。