トップ

内分泌の病気

とうにょうびょう
二次性糖尿病
二次性糖尿病

二次性糖尿病とは、何らかの疾患や薬剤投与に伴う糖尿病を広義にはさします。表1に日本糖尿病学会の分類を示しました。従って、先述のステロイド糖尿病も二次性糖尿病の一つですが、ここでは内分泌疾患に伴う糖尿病に限局して記載します。血糖値は、血糖を低下させるホルモンであるインスリンと、多くの血糖を上昇させるホルモンとのバランスの上で正常に保たれています。一般的な糖尿病(1型糖尿病・2型糖尿病)は、インスリンの絶対的もしくは相対的不足によって発症しますが、内分泌疾患に伴う二次性糖尿病は血糖を上昇させるホルモンが過剰になる事により、血糖の上昇を引き起こします。内分泌疾患に伴う糖尿病を表2に列挙しました。

表1 その他の疾患、条件に伴うもの(日本糖尿病学会分類)
(1)膵外分泌疾患
    膵炎
    外傷/膵摘出術
    腫瘍
    ヘモクロマトーシス
    その他
(2)内分泌疾患
    クッシング症候群
    先端巨大症
    グルカゴノーマ
    アルドステロン症
    甲状腺機能亢進症
    ソマトスタチノーマ
    その他
(3)肝疾患
    慢性肝炎
    肝硬変
    その他
(4)薬剤や化学物質によるもの
    グルココルチコイド
    インターフェロン
    その他
(5)感染症
    先天性風疹
    サイトメガウイルス
    Epstein-Barrウイルス
    Coxackie Bウイルス
    Mumpsウイルス
    その他
(6)免疫機序による稀な病態
    インスリン受容体抗体
    Stiffman症候群
    インスリン自己免疫症候群
    その他
(7)その他の遺伝的症候群で糖尿病を伴うもの
    Down症候群
    Prader-Willi症候群
    Turner症候群
    Klinefelter症候群
    Wolfram症候群
    セルロプラスミン低下症
    脂肪萎縮性糖尿病
    筋強直性ジストロフィー
    その他
表2 内分泌疾患に伴う糖尿病の特徴
  過剰ホルモン 耐糖能異常の頻度 インスリン分泌
先端巨大症 GH 50~60%
クッシング症候群 コルチゾール 70~85%
甲状腺機能亢進症 T3, T4 70~80%
原発性アルドステロン症 アルドステロン 50%
褐色細胞腫 カテコラミン 60~90%
ソマトスタチノーマ ソマトスタチン 70~80%
グルカゴノーマ グルカゴン 80~90%
この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

表2に耐糖能異常の発症頻度を提示しました。多くの疾患で半数以上が耐糖能異常を伴うことが言われていますので、注意が必要です。糖尿病の既往に関わらず、これらの疾患を指摘された場合は、糖負荷試験を行なう事をお勧めします。

この病気はどのような人に多いのですか

症例数が少なく、詳細な解析はされていませんが、ステロイド糖尿病同様に、肥満や家族歴といった2型糖尿病の発症リスクを有する患者さんはより注意が必要です。

この病気の原因はわかっているのですか

インスリンに拮抗するホルモンが過剰になる事が原因とされています。表2に示すとおり、成長ホルモン(GH)、甲状腺ホルモン(T3,T4)、カテコラミンといったインスリン抵抗性を高めるホルモンが過剰の場合はインスリン代償性に上昇しますが、相対的なインスリン作用不足のため高血糖を呈します。ソマトスタチンはインスリンの分泌を直接抑制して血糖を上昇させます。アルドステロンはカリウムの低下に伴いインスリン分泌能を低下させます。グルカゴンはインスリン分泌には関わりませんが、肝臓からの糖の放出を促進し、血糖を上昇させます。

この病気は遺伝するのですか

原疾患が遺伝子のものであれば遺伝します。

この病気ではどのような症状がおきますか

2型糖尿病同様初期には症状はありません。原疾患のホルモンによっては空腹時がさほど高血糖でなくとも、食後を中心に高血糖を呈する場合もありますので、HbA1c、食後の血糖値、尿糖を測定して、早期発見する必要があります。

この病気にはどのような治療法がありますか
  1. 原疾患の治療
  2. 原疾患の治療が優先されます。原疾患が腫瘍性の病変であれば、取り除く事が最優先といえます。

  3. インスリン療法・経口血糖降下薬
  4. 高血糖の是正は、他の糖尿病同様に病態に即して治療される必要があります。

この病気はどういう経過をたどるのですか

原疾患を治療する事で、多くは糖尿病が治療します。しかし、長期に罹病していると、インスリン分泌能が低下し、原疾患治療後も糖尿病が持続するケースも少なくありません。